「虚しい時間」だけが過ぎゆく国
 
         
   
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  衆参院両院で与野党が逆転している中で開かれている通常国会であるが、余りにも我国の政治の貧困さを露呈し続けている。力の無い与党と野党から抜け出せない民主党との攻防は、余りにも幼稚で滑稽にさえ感じられる。
  二大政党が確立した米国では、いくらなんでも政治がこんな状況に陥ることはない。共和党政権であっても、民主党政権になっても政権による路線の差はあるが、絶えず国会が混乱し出口の無い、無意味な混乱だけを長続きさせるようなことはありえない。政治が YESか NO の二つに一つの答えしか出せない様では、もはや政治ではない。政治は白か黒かだけでは無く、場合によってはマーブルを選択して始めて国を司ることが出来るはずである。国民の総合的な意思とその時々の国益を相対的にまとめてこそ政治の価値と本質がある。
  道路特定財源の問題に関しても、政府は道路特定財源を原資にして各自冶体に道路予算を割り振り単年度ではなく、複数年度での道路建設が各地で行われている。それを急に取りやめれば、地方自冶体側にしてみれば詐欺にあったようなもので、手がけた道路建設が頓挫するであろう。もし、道路特定財源を本当に廃止するのであれば、廃止するための複数年度計画が必須であり、政府や国土交通省が何でそれをきちんと国民に説明しないのか理解に苦しむ。だから、どの県の知事も道路特定財源の早急な廃止に反対するのは、当たり前のことである。
  民主党もそんなことは、百も承知の上で「ガソリン値下げ隊」なるものを作って選挙に向けた人気取りにばかり奔走する姿からは、二大政党制を語る資格など程遠い感を拭えない。
  そんな中で、世界では米国の一国至上主義に大きな陰りが出て、EUやロシア、アジアでは中国やインド・韓国の発展から目が離せない状況にある。特に、韓国はここ数年北朝鮮との緊密な関係改善をベースにして虎視眈々と世界に向けての経済戦略・商業戦略を練り実行に移している。ソウルとピョンヤンの調度中間地点にある、北朝鮮国内の開城(ケソン)に800万坪の工業団地を建設して、韓国の企業が北朝鮮の労働力を使って韓国製品の製造を始めている。ここでの生産コストが、世界の工場となった中国の生産コストよりも安価であることは歴然とした事実である。技術の進歩が著しい韓国が北朝鮮を生産工場としてコントロールし世界戦力を練れば、今の日本では到底太刀打ち出来るはずもない。
  そんな時期に、我国は以前の栄華だけを糧に、いつまでも錯覚した驕りを持ち続け、国内の政治対決だけに明け暮れている。政治家達は、次の総選挙後のことばかりに思考が傾き、一にも二にも人気取りに奔走し本筋での議論が行われない。
  そんな現在の日本の時の経過のあり方は、必ずや後世になって取り返しがつかない虚しい時代として位置づけられると思うと居ても立ってもいられない、悔しさを感じる。
 その最大の要因は、指導者の不甲斐なさである。指導力不足は歴然としており、なんでも他人事のような論調は一国の総理の体をなしていない。このなるべくしてなる人間が国家の指導者となっていない現実は、我国にとって非常に不幸であり、国益に反する。
 この混乱する日本をまとめ、転換させる指導力と策を持った、大きな器量を持つ強力な指導者の出現を熱望する。


   
 
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