「広域行政」を支える高速道路の役割
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○広域連合と一部事務組合 @ 国や都道府県から権限・事務の直接の委任を受けられる A 構成団体に勧告や命令を出せる B 連合長や連合委員の直接選挙が可能 C 住民の直接請求ができる 同様に広域的事務処理を執行するための特別地方公共団体として、一部事務組合がある。昭和44年より全国的に順次設置されており、平成8年現在で総数2818組合である。富山県では昭和45年より5つの広域圏事務組合を組織しており、東海北陸道沿線については砺波広域圏事務組合(一市五町四村)が所掌している。 両者の相違点としては、広域連合が国や県と対等の立場にあるのに対して、一部事務組合はあくまでも構成団体の事務の一部を共同処理しているに過ぎない立場であることといえる。よってここ数年、一部事務組合の総数は、より複合的でかつ権限の強い広域連合への移行もあって、全国的に漸減傾向にある。 ○ 南砺広域連合 富山県の東海北陸道沿線には、もう一つ砺波広域圏事務組合がある。こちらは、砺波市、城端町、平村、上平村、利賀村、庄川町、井波町、井口村、福野町、福光町の1市5町4村で構成されている。 県境周辺の村々には、災害や事故がめったに発生しないため、現状は常設の消防署を持っていない。東海北陸道が開通した場合、IC周辺に救急隊の配置が必要になるが、村(上平村・平村・利賀村)単独で救急隊を設置する財政的な余裕はない。 このため、広域事務組合では高速道路での使用を前提として、既存市町村の消防組織を砺波広域圏消防本部で一体統括する予定である。 また、上平IC付近にも高速での事故対応を想定して分遣所を設置した。 これらにより今後は、高速道路上だけでなく、周辺地域の事故や火災の処置、救急患者の搬送については消防本部で統括して管理し、近傍の拠点で対応できない場合には高速道路を通行して周辺の拠点より応援派遣することが可能となる。 また、ゴミ処理についても、ゴミは発生した地元町村で処理するのが原則であるため、従前までは福光町と平村にあるゴミ処理施設で各々処理してきた。ところが、平村の処理施設は老朽化しており、近年のダイオキシン対策の環境基準(0.5ng/N・m3以下)をクリアするためには全面的な設備更新が必要となった。 このため、広域事務組合では今年度より平村の施設を廃止して、福光町の施設に集約することで処理している。福光町にある南砺リサイクルセンターは平成7年に更新した最新施設であり、日本初の厚生省国庫補助金対象施設として、「ゴミ固形燃料システム(RDF)」を導入することでダイオキシン抑制に大きく貢献(実測値0.019ng/N・m3)している。さらに製造した固形燃料は、町民プール給湯や中学校暖房等に有効利用されている。 現在、ゴミ処理場までの搬送ルートとしては現道を利用しているが、将来的には東海北陸道を利用することを前提としており、さらには岐阜県内の白川村や荘川村からも処理エリアに統合して欲しいという要望があり、現在調整中である。 ○ 広域行政を支える高速道路の役割 このように、地方とりわけ過疎、高齢化が進む農山魚村部に高速道路が開通すると、それを利用する周辺市町村及び住民に対する利便としての波及効果は、計り知れないものがあるように思われる。 地方の高速道路周辺の市町村が、広域連合を形成して病院・消防・ゴミ処理等の公共施設や美術館・ホール・運動施設等の文化施設ごとに役割分担をする代表を決めて、その設置運営主体として広域連合が統括すれば、一種の都市計画にも似た夢のある地域振興がそこに存在する。 さらには、現在の大都市集中型を抑制して、均衡のとれた国土行政構築のための受け皿づくりにも貢献するであろう。 そういう意味でも、全国につながる高速道路網整備の意義は大変深いものある。
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