国民に夢と希望を与えるビジョンを持つ
政治のリーダーを待望する

 
         
   
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9月12日のサンデープロジェクトに岡田民主党代表が出演して、司会の田原総一郎氏の公共事業に対する質問に対し、例の如く民主党が政権を取れば公共事業予算は10年間で半減させる旨の回答をしていた。そこまでは、民主党の今まで通りの政策として聞いていたが、次のコメントを聞いて耳を疑った。それは、「公共事業を増やして税収が上がっても、金利の上昇に繋がるので意味がない」という趣旨の発言であった。本当に民主党の政策とはこんなものなのだろうか。
 9月26日、今度は自民党の谷垣財務大臣がサンデープロジェクトに出演して、税収増と金利との関係に関して発言し、景気回復による税収増は、金利の上昇に繋がるので注意して金利をコントロールすることが必要だという趣旨の発言をした。
  確かにプライマリーバランスが崩れている現在の状況化では、政府の年度予算編成に於ける国債依存度が異常に高くなっており、金利の上昇との兼ね合いを検討することは必然である。 ただ、今の政治家の多くは消費税を初めとする所得税や法人税の増税には、基本的に前向きだが公共事業等による景気回復には、金利上昇を懸念して後ろ向きであるとしたら、嘆かわしい以外の言葉が見つからない。
 本来の公共事業の目的や効果をどこまで無視すれば気が済むのであろうか。公共事業を活用して、失業者を減らし、所得をふやし国民に元気を与えようとなぜしないのであろうか。
  ただ財政再建の名の下に国民生活を無視して、策を持たない目先だけの緊縮財政を基本とする改革を行って本当に良いのだろうか。決してそんな筈はない。今のやりかたでは、税収が年3兆円ずつ減少している。増税せずに放っておけば、数年経てば30兆円も割り込む勢いだそうである。
9月27日、第二次小泉改造内閣が発足した。小泉総理になってから実質的には、3度目のサプライズ人事が行われた。以前にも道路公団改革を踏み絵にした組閣が行われたが、今回は郵政民営化を踏み絵にした組閣となった。
小泉総理が就任してから、構造改革に着手して、道路公団民営化・郵政民営化が政治の一番の課題として取り上げられ、それに賛成するか否かで閣僚や党三役を登用しているが、本当にそれらが政治の一番の課題となるべき問題なのだろうか。決してそんなことはない。
もちろん、戦後の日本が歩んできた歴史の中で、色々な歪や矛盾が生じそれを徐々に軌道修正していく必要があることに異論は無い。だが、道路公団改革も郵政改革もそれはそのひとつの手段であって、それ自体が最大の政治課題であるはずが無い。

 そんな折、自民党の平沼赳夫前経済産業大臣の講演を聞く機会があった。
平沼代議士によると‥
  小泉総理をはじめ今の政治家の多くは、国民に今後日本がどう歩むべきかのビジョンを示していない。
  まず、国のリーダーに必要なことは、効率の良い経済戦略・ビジョンを立て、これを国民によく説明し理解させた上で、その戦略を成功させるために、規制緩和や法律の制定・補助金制度の整備等を活用し、その政策を実行に移すべきだ。
  具体的には、天然資源が少ない日本が戦後成長して世界第二位の国になれたのは、優秀な人的資源を有効活用して、貿易立国になったからであり、今後も投資減税等を有効に活用して、人件費が低いからという理由で中国に持っていった製造業も国内に工場を誘致して、選りすぐった技術力で製造原価を抑え世界に対抗すべきで、現にもうそういう企業は多く出現している。
また、日本は少子化問題で揺れているが、世界的に見れば爆発的な人口増の時代を向かえている。そんな中で、日本の食糧自給率は40%を割り込んでいるが、日本で作る食材の美味しさは世界に誇れるものであり、今後は農業を1.5次産業と位置づけ国内の自給率を高めるだけでなく、中国を初めとするアジア圏に向けた輸出産業として考えていくべきだ。‥
と言うような内容の講演であった。
平沼代議士は、年内に自分のビジョンを纏めて、来年早々にも発表する予定とのことである。

 この講演を聴いての私の感想は、政治家から久しぶりに目先や小手先の改革でなく、策を伴ったビジョンが聞けたと感じた。

 国民に夢とやる気を起こさせるビジョンをまず持ち、それを示して国民と一体となって実行することが政治家の最大の使命ではないだろうか。     
   
 
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